仕事を早くしたいと思うと、新しいツールや自動化を探したくなる。
ただ、その前に確認したいことがある。今ある作業を速くするより、そもそもやらなくてよい作業をなくせないかだ。
改善は、次の順番で考えると整理しやすい。
- やめる
- 減らす
- 変える
これは「新しい道具を使わない」という話ではない。道具を入れる前に、何を残すべきかを決めるための順番だ。

最初に、「この作業は何のためか」を一文にする
毎週の資料作成、転記、確認依頼、定例会議。続いている作業ほど、目的を説明しないまま残りやすい。
まずは対象の作業について、次の一文を埋める。
この作業は、誰が何を判断・実行するために必要か。
埋められないなら、すでに目的が薄れているかもしれない。たとえば、誰も見ない数字を毎週整えている、同じ情報を二つの場所へ入力している、結論が出ない会議を惰性で開いている、といった状態だ。
もちろん、記録・品質・安全・法令・契約に関わる作業は、自己判断で消してはいけない。ここで見直すのは、必要な確認そのものではなく、目的を果たすまでの遠回りである。
1. やめる: 目的を失った作業を外す
最も効果が大きいのは、作業をゼロにすることだ。
| 見直す場面 | 問い |
|---|---|
| 定例資料 | この資料を使って、誰が何を決めているか |
| 二重入力 | 片方の入力先を止めても、困る人はいるか |
| 定例会議 | 今週、会議でしか決められないことはあるか |
| 承認・確認 | 判断に必要な情報と確認者は明確か |
「前からそうしている」は、続ける理由にはならない。やめる提案をする時は、いきなり廃止ではなく、一定期間だけ止めて影響を見る方法もある。
2. 減らす: 回数・待ち・手戻りを小さくする
やめられない作業でも、量を減らせることは多い。
減らす対象は、主に四つある。
- 回数: 毎日ではなく、週に一度でよいか
- 人数: 全員参加でなく、必要な人だけでよいか
- 入力項目: 判断に使わない項目まで埋めていないか
- 待ち時間: 確認をまとめることで、止まる回数を減らせないか
ここで重要なのは、単に急ぐことではない。情報を減らしすぎて判断が悪くなれば、後で手戻りになる。残すべき条件を決めた上で、余分な往復を減らす。
3. 変える: 残した作業を、やりやすい形にする
やめることと減らすことを検討して、それでも必要な作業が残った時に、初めて方法を変える。
たとえば、テンプレートにする、入力場所を一つにする、確認の時刻を固定する、繰り返し作業を自動化する、といった方法がある。
この順なら、自動化したあとに「そもそも不要だった」と気づく無駄を減らせる。
残す理由を説明できる作業だけを、速くする。
この一文を基準にすると、ツール選びもぶれにくい。
小さく試すためのメモ
改善案を思いついたら、次の四行だけ残す。
やめる / 減らす / 変える対象:
残すべき目的・制約:
試す期間:
影響を確認する相手:

大きな改革にしなくてよい。一つの定例資料、一つの会議、一つの転記から試せば、仕事の流れは少しずつ軽くなる。
効率化は、作業を詰め込むためのものではない。必要な仕事に時間と注意を戻すためのものだ。
