AIに文章やアイデアを頼むと、とりあえず何かは返ってくる。
長い文章が出てきて、見た目はそれなりにまとまっている。でも読んでみると、なんとなく違う。
そこで「もう少し良くして」「書き直して」と頼む。次の回答を読んでもまだ違うので、また指示を足す。
こういうやり取りは、終わらせようと思えばどこかで終わらせられる。でも、終わりを決めなければずっと続けることもできる。そして時間を使った割に、最後に残るのが「まあ使えなくはない」くらいの文章だったりする。
以前は自分にもこういうことがあった。
原因はAIへの指示の書き方というより、その前に自分自身が何を欲しいのかを十分に決めていなかったことの方が大きかったと思っている。

結果だけ渡しても、AIには分からないことがある
仕事で技術的なレポートを書く時にも似たことがある。
たとえば、Excelにまとまった試験結果をAIへ渡して、「この結果からレポートを書いて」と頼む。
AIは表を読んで、それらしい文章を書くことはできる。
でも、それだけではかなり難しい。
AIには、そもそもなぜその試験をしたのかが分からない。
何を確かめたかったのか。事前にはどうなると考えていたのか。どんな背景があったのか。そして、その結果を使ってレポートで何を伝えたいのか。
Excelの数字だけを見ても、その部分は出てこない。
そこを渡さずに文章を書かせると、AIは不足している部分をそれらしくつないで、全体を一つの文章にまとめようとする。
文章としてはまとまっていても、仕事でそのまま使えるとは限らない。
たとえば、複数の線グラフがほぼ重なっていて、ごく小さな差だけが見える時がある。「こちらは少し上向きの傾向がある」と書くのか、「ばらつきの範囲内で、どのデータもほぼ同じ傾向」と見るのかは、数字だけでは決められない。事前の仮説、過去の実績、試験の目的、どの差を意味があると扱うかで考察は変わる。
この経験から、最近はAIへ何かを頼む時に、いきなり成果物を作らせるより先に、自分の中でいくつかを分けるようにしている。
- どういう背景なのか
- 最終的にどこへ行きたいのか
- AIに渡せる情報は何なのか
- そこへ行く方法として何をしてほしいのか
毎回きれいなテンプレートに書いているわけではない。ただ、このあたりが自分の中で曖昧なままAIへ投げると、あとから会話で修正する方が大変になる。
最低限なら、次の三行でもよい。
今回、何を判断したいか:
すでに分かっている条件:
避けたいこと、または守るべき制約:
ここに「どういう背景か」と「何をしてほしいか」を足せば、AIへ渡す材料としては十分なことが多い。
「何か違う」が続いたら、会話を続ける前に考え直す
AIの回答を読んで、「何か違う」と感じること自体は珍しくない。
問題は、その違いを自分でも説明できない時だ。
「もっと良くして」としか言えない状態で会話を続けても、AI側からすると何を変えればよいのか分からない。
こちらに基準がないのだから当然でもある。
そういう時は、追加の指示を考え続けるより、一度その会話を捨てて、自分が何を作りたかったのかを考え直した方が早いことがある。
最近は、この状態になること自体が以前より減った。
AIへ頼む前の準備が足りなければ、あとでやり取りを繰り返しても雑な結果になりやすい、と意識するようになったからだ。
分からないところは、勝手に埋めずに聞いてもらう
もう一つ、最近よく入れる指示がある。
必要な情報が足りない、意味が分からない、判断できないところがあれば、先に質問してほしい、とAIへ伝える。
AIは情報が足りなくても、何らかの前提を置いてそのまま進めることがある。
その仮定が合っていれば問題ない。
ただ、間違った前提のまま長い文章やコードを作られると、あとから直す方が面倒になる。
だから、自分が提供する情報を整理するだけでなく、不足しているものをAIが勝手に補わないための逃げ道を作っておくことも大事だと思っている。
自分は、背景・目的・やってほしいことを一度まとめて渡した後、「今の内容をまとめて、理解できていない点があれば質問してほしい」と頼むことが多い。要約と質問で理解を合わせてから作業へ進める方が、後から前提を足し続けるより扱いやすい。
良いプロンプトを書くことが目的ではない
これは、長くて完璧なプロンプトを書こうという話ではない。
自分が何をしたいのか分からないままAIに聞けば、AIはその曖昧さまで含めて何とか一つの答えへまとめようとする。
その結果に違和感を持って、またAIへ修正を頼む。
これを繰り返していると、考える時間を減らすためにAIを使ったはずなのに、AIとの会話そのものに時間を使うことになる。
だから最近は、AIを開いてすぐに答えを作らせるより、
「何のためにやるのか」 「どこまで分かっているのか」 「最終的に何が欲しいのか」
を一度自分へ戻す。
そのうえで、文章を書く、コードを書く、方法を考えるといった作業をAIへ渡す。
AIへ良い答えを出させるためというより、自分が何を判断しようとしているのかを見失わないために、その一手間を置いている。
